大きな鼻に、ふさふさした茶色の体、黄色い帽子。そして「ふごふご」と聞こえる、どこか不思議で愛らしい鳴き声。NHK教育テレビ(現・Eテレ)の工作番組『できるかな』でノッポさんと共演したゴン太くんは、番組終了から30年以上が経過した2026年現在も、昭和の子ども番組を象徴するキャラクターとして知られています。
ところが、その正体を詳しく調べると、意外な事実が見えてきます。おなじみの姿が登場するまでにはデザインの変遷があり、鳴き声にも楽器の仕組みが関係していました。さらに、番組終了後のゴン太くんの行方や、相棒だったノッポさんが最終回で見せた忘れられない場面にも、番組の歴史を知る手がかりがあります。NHKの番組発掘プロジェクトや関係者の証言、楽器学資料館の解説などをもとに、その誕生から現在までを整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 正体:ゴン太くんは、造形作家・枝常弘さんがデザインに携わった『できるかな』のキャラクター。おなじみの着ぐるみ姿は1974年度に登場しました。
- 声の秘密:特徴的な「ふごふご」という鳴き声には、ブラジルの打楽器クイーカが関係しています。
- 番組の歴史:『できるかな』は1970年4月に放送開始。1990年3月の最終回では、長年無言を貫いたノッポさんが初めて言葉を発しました。
- 現在:2023年の報道では、番組で使われたゴン太くんは埼玉県内の幼稚園に展示されていると紹介されました。別のイベント用の個体はNHK放送博物館で展示されていました。
【正体を解説】ゴン太くんは何者?ノッポさんとの関係と誕生秘話
ゴン太くんは、NHK教育テレビの工作番組『できるかな』に登場したキャラクターです。動物のような外見をしていますが、実在する動物ではなく、番組のために作られた造形キャラクターです。
番組の制作に携わり、ゴン太くんの生みの親として知られるのが、造形作家の枝常弘さんです。枝常さんは、工作や小道具、造形を通して子ども向け番組を支えてきた人物。『できるかな』でも造形指導を担当し、キャラクターの制作に関わりました。
ゴン太くんの魅力を理解するうえで欠かせないのが、ノッポさんとの関係です。ノッポさんこと高見映さんは、帽子をトレードマークにした長身のパフォーマー。番組では、身近な材料を使って工作を作り、その過程を身ぶりや表情で伝えました。
一方のゴン太くんは、工作に興味を示したり、ノッポさんにちょっかいを出したり、ときには失敗に戸惑ったりする役割を担いました。言葉を使わないノッポさんと、意味のある言葉を話さず独特の鳴き声を上げるゴン太くん。この組み合わせによって、視聴者は二人の気持ちや行動を自分なりに読み取ることができたのです。
ゴン太くんは、単に工作を見守るマスコットではありません。ノッポさんの動きを引き立て、番組にユーモアや意外性を加える、もう一人の主役でした。
【歴代デザインを比較】初代ゴン太くんと現在につながる姿の違い
現在よく知られているゴン太くんの姿は、番組開始時から完成していたわけではありません。NHKの発掘映像や番組史をたどると、初期のキャラクターと、後に定着した着ぐるみとの間に大きな違いがあったことが分かります。
初期のキャラクターが登場したのは1971年度。当初は、子どもが作ったロボットのような造形で、現在のゴン太くんとはかなり異なる姿でした。工作の内容に応じて呼び名が変わることもあり、今のように一つのキャラクターとして固定されていたわけではありません。
転機となったのが1974年度です。この時期に、ふさふさした毛並みや大きな鼻、帽子が印象的な着ぐるみ姿へと変わりました。ノッポさんと一緒に動き、工作の場面で自由にリアクションできるようになったことで、現在知られているコンビのイメージが形づくられました。
この着ぐるみの制作や番組での造形を支えたのが、枝常弘さんらのスタッフです。週刊女性PRIMEが2023年に掲載した枝常さんへの取材では、番組制作の背景や、ゴン太くんが番組終了後にたどった道のりも紹介されています。
デザインの変遷を知ると、ゴン太くんは最初から完成されたキャラクターだったのではなく、番組の演出や工作のスタイルに合わせて姿を変えてきたことが分かります。初期の人形と、後年の着ぐるみを同じものとして扱わないことが、歴代デザインを理解するポイントです。
【放送期間と番組史】『できるかな』1970〜1990年の歩み
『できるかな』は、1970年4月8日から1990年3月6日まで放送されたNHKの幼児向け工作番組です。約20年にわたる番組の歴史のなかで、工作の楽しさを伝える方法や、キャラクターの役割も少しずつ変化していきました。
番組の最初の年度には、ノッポさんではなく、複数の若い出演者が登場していました。しかし、前身番組『なにしてあそぼう』から親しまれていたノッポさんの復帰を望む声があり、1971年度から再び出演するようになります。枝常さんの証言を紹介した週刊女性PRIMEの記事でも、この経緯が語られています。
番組の基本的な魅力は、特別な材料や高価な道具を使わず、身近なものから新しい遊び道具を作ることでした。段ボールや紙などを使い、手を動かして形を生み出す。その過程を、ノッポさんのパントマイムとゴン太くんの反応で見せる構成は、子どもが画面を見ながら想像し、考える余地を残していました。
放送史を整理すると、番組開始、ゴン太くんの着ぐるみ化、そして最終回という節目が見えてきます。
| 時期 | 出来事 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 1970年4月8日 | 『できるかな』放送開始 | 当初は複数の出演者による工作番組としてスタート |
| 1971年度 | ノッポさんが再登場 | 初期の人形キャラクターが番組に登場 |
| 1974年度 | ゴン太くんが着ぐるみ姿に変更 | 現在知られるキャラクター像が定着 |
| 1989年 | 長年ナレーションを担当したつかせのりこさんが逝去 | 番組を支えた音声面にも変化 |
| 1990年3月6日 | 最終回を放送 | ノッポさんが初めて言葉を発し、後継番組へバトンを渡す |
| 2023年 | 過去の映像31本の発掘が報じられる | 1976〜1981年の映像が新たに見つかり、番組史の資料が充実 |
なお、NHKの番組発掘プロジェクトが2023年に紹介した映像には、1976〜1981年に放送された31本が含まれていました。映像を提供したのは、ゴン太くんのデザインに携わった枝常さんです。過去の番組を記録として残すことが、キャラクターの歴史を知るうえでも大きな意味を持っています。
【声の仕組みを検証】「ふごふご」の正体はクイーカだった
ゴン太くんについて、現在も多くの人が気になるのが、あの独特な鳴き声です。言葉のようで言葉ではない、「ふごふご」「うごうご」と聞こえる音。誰が声を担当していたのか、声優が演じていたのかと疑問に思う人もいるでしょう。
CDジャーナルが2007年に掲載した解説では、ゴン太くんの特徴的な鳴き声は、声優が発する声ではなく、クイーカという打楽器の音だと紹介されています。
クイーカはブラジル音楽で使われる摩擦式の打楽器です。太鼓のような胴と膜を持ち、膜の内側に取り付けられた棒を湿った布などでこすって音を出します。国立音楽大学楽器学資料館の解説でも、膜の内側にある棒を湿った布でこする仕組みが説明されています。
棒をこする動作や力の加減によって、音の高さや響きが変化します。その特徴的な音色が、動物のうなり声や鼻にかかった声を思わせるため、ゴン太くんの表現によく合っていたのです。
ここで注意したいのが、ゴン太くんの鳴き声と、番組のナレーションは別物だという点です。番組では、視聴者に工作を説明したり、二人の行動に言葉で反応したりする「おしゃべり」の役割があり、長年つかせのりこさんが担当しました。1989年のつかせさんの逝去後は、かずきかずみ名義の大和田りつこさんが後任を務めました。
つまり、ゴン太くんの「ふごふご」は、一般的な意味での声優によるセリフとは異なります。楽器が生み出す音をキャラクターの感情表現に結びつけた点に、この演出の面白さがあります。
声を言葉に限定せず、音色やタイミング、体の動きと組み合わせる。ゴン太くんは、音だけでも喜びや不満、驚きを想像させる表現の好例だったのです。
【ノッポさん最終回の真相】なぜ最後に言葉を発したのか
『できるかな』を語るうえで、ゴン太くんと並んで欠かせないのがノッポさんです。長年にわたり、ノッポさんは番組のなかでほとんど言葉を発さず、身ぶりやパントマイムを通して工作を見せてきました。
そのノッポさんが、最終回の1990年3月6日放送分で初めて言葉を発したことは、番組史を象徴する出来事として知られています。2023年5月のNHKによる追悼番組の放送発表でも、最終回はノッポさんが初めて口を開いた回として紹介されました。
番組の大半で無言を貫いてきた人物が、最後に視聴者へ言葉を届ける。この演出は、長年見続けた視聴者にとって、いつもの番組が終わることを強く実感させる場面でした。
最終回では、後継番組『つくってあそぼ』につながるキャラクター、ワクワクさんとゴロリも登場しました。ノッポさんとゴン太くんの時代が終わると同時に、新しい工作番組へと引き継がれていったのです。
ノッポさんを演じた高見映さんは、のちに高見のっぽの名でも活動しました。2022年9月10日に88歳で亡くなったことが、2023年5月に公表されています。NHKはその後、最終回を含む関連番組を放送し、長年にわたって子どもたちに親しまれた仕事を振り返りました。
ノッポさんが言葉を使わなかった理由を、単に「しゃべらないキャラクターだったから」と捉えるだけでは、番組の魅力を十分に説明できません。視聴者が表情や動作から意味を読み取る余地を残したことが、ゴン太くんの鳴き声やリアクションとも結びつき、独特の番組世界を作っていたのです。
【ゴン太くんの現在】2026年に分かっている展示・映像資料
番組が終了したあと、ゴン太くんの着ぐるみはどうなったのでしょうか。2023年の報道では、番組本編で使われた着ぐるみと、イベントなどに使用するために作られた別の個体について、それぞれ異なる展示先が紹介されています。
週刊女性PRIMEが伝えた枝常さんの証言によると、番組終了後の着ぐるみは廃棄されそうになったものの、制作に携わった関係者が引き取り、大学の造形室などで保管されたのち、埼玉県内の幼稚園に譲られたといいます。2023年の記事では、季節の行事などに合わせて飾られる姿も紹介されました。
一方、日刊スポーツは2023年5月、東京都港区愛宕のNHK放送博物館にイベント用のゴン太くんが展示されていたと報じています。同館では、ノッポさんが実際に使用した帽子や台本なども展示され、番組映像の一部を視聴できることが紹介されました。
ただし、番組本編で使われた着ぐるみと、NHK放送博物館に展示されたイベント用の個体は同一ではありません。展示を目的に訪れる場合は、この違いを理解しておくと、現地で探しているものを間違えずに済みます。
2026年10月時点で、ゴン太くんをめぐる近年の大きな節目として注目したいのが、NHKアーカイブスによる過去映像の発掘です。2023年には、NHKに保存されていなかった『できるかな』の映像31本が新たに見つかったと報じられました。映像は1976〜1981年の放送分で、枝常さんが提供したものです。
また、1972年の映像には、広く知られた着ぐるみ姿とは違う初期のキャラクターが登場します。初期の番組映像がすべて残っているわけではないため、こうした発掘資料は、デザインの変化や番組演出を知るうえで貴重な記録です。
NHK放送博物館を訪れる場合は、展示の継続状況や開館案内を事前に確認するのがおすすめです。幼稚園に譲られた個体についても、一般公開を前提とした施設ではないため、見学できると決めつけず、施設側の案内に従う必要があります。
【プロの結論】ゴン太くんが世代を超えて愛される3つの理由
ゴン太くんの魅力は、見た目のかわいらしさだけではありません。番組の歴史や表現方法を振り返ると、長く親しまれてきた理由が三つ見えてきます。
第一に、言葉に頼りすぎない表現です。ノッポさんの身ぶりとゴン太くんの鳴き声は、視聴者が登場人物の気持ちを想像する余地を作りました。セリフを理解することより、動きや表情を読み取ることが中心だったため、幼い子どもでも場面に入り込みやすい構成でした。
第二に、身近な材料から何かを作る楽しさです。『できるかな』が見せたのは、完成した工作だけではありません。試行錯誤しながら形を生み出す過程そのものが、番組の見どころでした。視聴者は、画面のなかの出来事を眺めるだけでなく、自分でも何かを作ってみようと考えることができました。
第三に、キャラクターと演出が一体になっていたことです。ゴン太くんのデザイン、クイーカによる鳴き声、ノッポさんのパントマイムは、それぞれ独立した要素ではありません。視覚と音が組み合わさることで、言葉がなくても物語が伝わる番組になっていました。
昔の番組を振り返る際には、現在の姿だけでなく、初期デザインや放送当時の記録、制作者の証言を合わせて見ることが大切です。ゴン太くんの場合、初期の人形と後年の着ぐるみ、番組本編用とイベント用の個体を区別することで、キャラクターの歴史がより明確になります。
また、ノッポさんの最終回やゴン太くんの展示情報を調べる際には、当時の放送記録と近年の報道を照らし合わせると、記憶と事実を整理しやすくなります。懐かしさを入り口にしながら、制作技術や放送文化の変化にも目を向けると、『できるかな』をより深く楽しめるでしょう。
【ゴン太くん】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ゴン太くんの正体は何ですか?
A1:NHKの工作番組『できるかな』に登場した造形キャラクターです。枝常弘さんがデザインに携わり、1974年度に現在よく知られる着ぐるみ姿になりました。実在する動物ではありません。
Q2:ゴン太くんの「ふごふご」という声は誰が担当していたのですか?
A2:特徴的な鳴き声は、ブラジルの打楽器クイーカの音として知られています。番組のナレーションを担当したつかせのりこさんらの声とは区別して理解する必要があります。
Q3:『できるかな』はいつまで放送されていましたか?
A3:1970年4月8日に放送を開始し、1990年3月6日に最終回を迎えました。約20年にわたって放送され、最終回ではノッポさんが初めて言葉を発しました。
Q4:ゴン太くんは2026年現在、どこにいますか?
A4:2023年の報道では、番組本編で使われた着ぐるみは埼玉県内の幼稚園に展示され、別のイベント用の個体はNHK放送博物館に展示されていたと紹介されています。現在の展示状況は、訪問前に各施設の案内を確認してください。
Q5:初代ゴン太くんと現在知られているゴン太くんは同じ姿ですか?
A5:同じではありません。1971年度に登場した初期のキャラクターは、ロボットのような人形でした。1974年度に着ぐるみ姿へと変わり、現在よく知られているデザインが定着しました。
まとめ:ゴン太くんの歴史を知れば『できるかな』はもっと面白い
ゴン太くんは、NHK『できるかな』の歴史とともに姿を変え、ノッポさんとのコンビで長く親しまれてきたキャラクターです。初期の人形から着ぐるみへの変化、クイーカを使った独特の鳴き声、1990年の最終回、そして番組終了後の展示や映像発掘まで、その歩みには多くの発見があります。
2026年に改めて振り返ると、ゴン太くんの魅力は、懐かしいキャラクターという枠だけには収まりません。言葉を多用せず、身ぶりや音で感情を伝える表現、身近な材料から何かを作る楽しさ、そして制作スタッフの工夫が一体となった、子ども向けテレビ番組の貴重な成果でもあります。
ゴン太くんの正体や声の秘密を知ったうえで当時の映像を見ると、何気ないリアクションやノッポさんとのやり取りにも、これまでとは違った面白さが見つかるはずです。残された映像や展示資料を通して、二人が伝えてきた「自分で作ってみる楽しさ」は、これからも世代を超えて受け継がれていくでしょう。 (出典: ゴン太くん(Yahoo!ニュース))