とんかつ専門店「かつや」で客離れが進んでいるのか。2026年の売上データを見ると、気になる変化が表れています。アークランズ株式会社が2026年10月5日に公表した月次資料によると、かつやの直営既存店売上高は、2026年1~6月の累計で前年同期比96.5%。客数は93.9%に落ち込む一方、客単価は102.8%に上昇しました。7~9月も既存店売上高は前年を下回っています。
背景には、2025年10月の価格改定、期間限定メニューやキャンペーンの集客力、消費者が求めるコストパフォーマンスの変化など、複数の要因が考えられます。ただし、既存店の客数が減っていることと、かつや全体の人気が失われたことは同じではありません。公式資料の数字とメニュー価格を照らし合わせ、客離れの実態、売上低迷の原因、松のやとの価格差、今後の注目点を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 客離れの実態:2026年1~6月の直営既存店売上高は前年同期比96.5%、客数は93.9%まで低下。
- 主な背景:客単価が102.8%に上昇する一方、キャンペーンの集客が伸び悩み、計画に対する出店ペースも鈍化。
- 値上げの影響:2025年10月10日の価格改定でカツ丼(梅)は税込649円から682円に。安さを重視する層には負担増となった可能性がある。
- 最新動向:2026年9月も既存店売上高は前年同月比93.7%。客数の回復が今後の焦点となる。
- コスパの判断:松のやのロースかつ定食は税込690円、かつやは税込913円。価格だけでなく、メニュー内容や利用目的も比較したい。
【結論】かつや客離れは本当に進んでいるのか?2026年の数字が示す実態
結論からいえば、かつやの直営既存店では、前年と比べて来店客数が減少していることが公式データから確認できます。 一方で、それだけを根拠に、チェーン全体の人気が急落した、あるいは経営が危機的状況にあると判断するのは早計です。
アークランズが公表した2026年10月5日付の「売上高前年同月比推移に関するお知らせ」では、かつやの2026年1~6月の既存店売上高は前年同期比96.5%でした。これは、比較対象となる前年の売上高を100とした場合、当年は96.5にとどまったことを意味します。
より注目すべきなのは、売上高以上に客数が落ち込んでいる点です。上期の客数は93.9%、客単価は102.8%でした。つまり、来店回数や会計件数の減少を、1回当たりの支出増加が部分的に補っている構図です。
さらに、7~9月の既存店売上高も前年同月を下回りました。2026年7月は92.4%、8月は94.6%、9月は93.7%です。少なくとも9月までの実績を見る限り、上期だけの一時的な落ち込みとは片付けにくい状況です。
ただし、ここでいう「客数」は既存店の前年同期・前年同月との比較指標です。前年に来店していた人のうち、何人が永久に来店しなくなったのかを示す数字ではありません。来店頻度の低下、利用する店舗の変化、競合への一時的な移動なども、客数の変動に影響し得ます。
したがって、2026年のかつやについて正確に表現するなら、「既存店の客数減少が続き、売上高も前年割れしている」が実態に近いでしょう。
【2026年最新データ】かつやの既存店売上高・客数・客単価の推移
客離れの原因を考えるには、売上高だけでなく、客数と客単価を分けて見る必要があります。以下は、アークランズの2026年10月5日付の月次資料に掲載された、かつやの既存店実績です。数値はすべて前年同期・前年同月比で、100%が前年と同水準を示します。
| 対象期間 | 既存店売上高 | 客数 | 客単価 | 読み取れる傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年1月 | 97.6% | 95.0% | 102.7% | 客数減を単価増が補う |
| 2026年2月 | 95.9% | 92.1% | 104.1% | 客数の落ち込みが大きい |
| 2026年3月 | 98.4% | 95.8% | 102.7% | 売上高は前年に近づく |
| 2026年4月 | 96.2% | 94.4% | 101.9% | 客数の前年割れが続く |
| 2026年5月 | 95.2% | 91.4% | 104.2% | 上期で最も客数が落ち込む |
| 2026年6月 | 95.6% | 94.6% | 101.1% | 単価上昇が縮小 |
| 2026年1~6月累計 | 96.5% | 93.9% | 102.8% | 客数減が売上高を押し下げる |
| 2026年7月 | 92.4% | 91.3% | 101.2% | 客数の低下が続く |
| 2026年8月 | 94.6% | 93.9% | 100.8% | 単価上昇が小幅にとどまる |
| 2026年9月 | 93.7% | 92.6% | 101.2% | 売上高・客数とも前年割れ |
※出典:アークランズ株式会社「売上高前年同月比推移に関するお知らせ」(2026年10月5日)。既存店は開店から14カ月以上経過した直営店が対象です。数値は前年実績を100とした指数です。
この表から読み取れるポイントは3つあります。
第一に、2026年上期は客数の減少が売上高の低下を説明する大きな要因になっています。 客数93.9%に客単価102.8%を掛け合わせると、売上高は約96.5%となり、公式発表の累計値とほぼ一致します。単価の上昇だけでは、来店数の減少を埋め切れていません。
第二に、客単価は一貫して前年を上回っています。これは、価格改定の影響や注文内容の変化などが反映されている可能性を示します。ただし、客単価が上がった理由を値上げだけに限定することはできません。高価格帯の定食や複数商品を組み合わせたメニューが選ばれた場合にも、平均支出は増加します。
第三に、7~9月も客数は前年の91.3~93.9%にとどまっています。上期累計の93.9%を下回る月もあり、客数の回復が遅れていることが分かります。2026年の客離れを判断するうえでは、上期の96.5%だけでなく、下期に入ってからも続く前年割れを重視する必要があります。
なお、これらは売上高の増減率であり、利益の増減率ではありません。原材料費、人件費、物流費、光熱費などのコストも利益を左右するため、売上高96.5%という数字だけから、かつやの利益が同じ割合で減ったと判断することはできません。
【理由①】かつやの値上げ・価格改定でコスパの印象は変わったのか
かつやの客離れを考えるうえで、価格改定は無視できない要素です。かつやは2025年10月10日、米をはじめとする原材料価格の高騰に加え、エネルギーコスト、物流費、人件費などの上昇を理由に、商品の価格を改定しました。
とくに、日常的な食事として利用する人にとっては、定番メニューの価格変化が利用頻度に影響する可能性があります。
主な改定内容は次のとおりです。
- カツ丼(梅):税込649円から682円へ、33円値上げ。
- カツ丼(竹):税込836円から869円へ、33円値上げ。
- ロースカツ定食:税込869円から913円へ、44円値上げ。
- ヒレカツ定食:税込1,012円から1,056円へ、44円値上げ。
カツ丼(梅)とロースカツ定食はいずれも、改定前の税込価格から約5%の値上げです。単発の金額としては数十円でも、週に何度も利用する人にとっては、月間の食費に差が生じます。
もちろん、原材料や人件費が上昇するなかで、価格を据え置くことが必ずしも可能とは限りません。公式発表でも、かつやはチルドの豚肉を使用し、店舗でとんかつを手仕込みしていることを説明しています。価格改定には、品質や店舗運営を維持するためのコスト面の事情があります。
一方、利用者が価格を判断するときに重視するのは、原価や人件費だけではありません。「支払った金額に対して、十分な量と満足感が得られるか」という実感も大切です。
以前は「手頃な価格でカツ丼を食べられる店」という印象で利用していた人が、値上げ後に他の飲食店やスーパーの総菜と比較するようになれば、来店頻度が落ちる可能性はあります。ただし、価格改定と客数減少が同時期に観測されても、それだけで値上げが客数減少のすべてを引き起こしたとは断定できません。
実際、2026年上期の客単価は102.8%と上昇しているものの、客数は93.9%まで低下しています。この組み合わせは、値上げや注文構成の変化によって売上高が一定程度支えられる一方、来店回数の減少を防ぎ切れていない状況と整合します。
現在の公式メニューでは、カツ丼(梅)が税込682円、ロースカツ定食が税込913円です。店舗や券売機、デリバリーなどでは価格が異なる場合があるため、実際に支払う金額は利用店舗の表示を確認する必要があります。
【理由②】キャンペーンの集客力と新規出店ペースに何が起きたのか
2026年の客離れを分析する際、価格以外で特に重要なのが、運営会社自身が説明している集客面の課題です。
アークランズの2026年の半期報告書では、かつやについて、店舗のデジタル化(DX)を継続し、新メニューの開発に取り組むとともに、1~6月に5回のフェアメニューと1回のキャンペーンを実施したと説明しています。その一方で、計画に対する出店ペースの鈍化や、キャンペーンにおける客数の伸び悩みなどを挙げ、既存店売上高が前年を下回ったとしています。
前年の同期間には8回のフェアメニューと1回のキャンペーンを実施していました。つまり、2026年上期は前年同期よりフェアメニューの実施回数が少なくなっています。
フェアの回数だけで集客力を評価することはできません。メニューの魅力、販売期間、告知の届き方、実際に来店につながった割合なども影響するためです。ただ、期間限定メニューは、普段から利用する人に新しい選択肢を提供し、しばらく来店していない人が再び店を訪れるきっかけにもなります。
公式報告書がキャンペーン時の客数の伸び悩みに言及していることは、こうした販促策が期待どおりの集客につながらなかった点を示しています。新メニューを投入するだけでなく、来店の動機をどこまで作り出せるかが課題です。
もう一つの論点が出店ペースです。公式報告書によると、2026年6月末のかつやの店舗数は509店舗で、前期末から3店舗純増しました。10月5日付の月次資料では、9月末の店舗数は512店舗となっています。これらの店舗数にはフランチャイズ店も含まれます。
店舗数そのものは増えているため、「かつやが全国的に店舗を減らし続けている」という理解は正しくありません。ただし、計画どおりに出店できなければ、新しい商圏から顧客を獲得する機会が想定より少なくなる可能性があります。
また、店舗数が増えても既存店の客数が自動的に回復するわけではありません。新規出店による商圏拡大と、既存店におけるリピーターの維持は、別々に考える必要があります。
この点から見ると、2026年の課題は単純な値上げ問題だけではなく、既存客が繰り返し利用する理由を強化しながら、新規出店や期間限定メニューを通じて新たな需要を生み出せるかどうかにあります。
【口コミ・評判を検証】かつやはコスパが悪い?松のやとの価格差を比較
「かつやは高くなった」「コスパが悪い」と感じるかどうかは、何を重視しているかによって変わります。日常的な昼食として安さを優先する人と、ボリュームやメニューの選択肢、味付けを重視する人では、同じ価格でも評価が異なります。
口コミや評判を判断するときには、価格への不満と、料理そのものへの評価を分けて読むことが大切です。値上げで以前ほどお得に感じなくなったという評価は、必ずしも味や品質が悪くなったことを意味しません。反対に、価格が手頃でも、量や調理、接客などに不満があれば、利用者の満足度は下がります。
価格面を考えるうえで比較対象になるのが、とんかつチェーンの松のやです。2026年10月時点で公式サイトに掲載されている定番のロースかつ定食を比較すると、次のような違いがあります。
- かつや:ロースカツ定食は税込913円。
- 松のや:ロースかつ定食は税込690円。
単純な価格差は223円で、松のやのほうが安い設定です。かつやのロースカツ定食は松のやより約32%高い計算になります。安さを最優先する利用者にとっては、松のやが有力な選択肢になるでしょう。
ただし、この比較はメニュー名と価格を基準にしたもので、肉の仕様、提供内容、店舗ごとの条件などが完全に同一という意味ではありません。価格差だけで、どちらが優れているかを決めることはできません。
かつやには税込682円のカツ丼(梅)があり、定食とは別の価格帯から選べます。カツ丼を手軽に食べたいのか、定食で食事を完結させたいのかによって、比較すべき商品も変わります。
また、かつやの価格改定は、原材料費や物流費、人件費などの上昇を背景に実施されました。価格が高くなったという事実と、支払額に見合う満足度があるかどうかは、分けて評価すべきです。
口コミを見る際には、次の3点を意識すると判断しやすくなります。
- 価格:自分が注文するメニューの実際の税込価格はいくらか。
- 満足度:量、味、提供速度、店舗のサービスが価格に見合っているか。
- 利用目的:最安値を求めているのか、メニューの種類や食事全体の満足度を重視しているのか。
個々の口コミは、投稿者が利用した店舗や時間帯、注文商品などによって内容が変わります。ネット上の否定的な感想だけでチェーン全体の評判を判断するのではなく、公式の客数データと、自分が実際に求める価値を照らし合わせることが大切です。
【かつや客離れの現在】店舗数は増加、既存店の回復が今後の焦点
2026年のかつやを評価するうえでは、店舗数と既存店の数字を分けて見る必要があります。店舗数は2026年1~2月の506店舗から、6月に509店舗、9月に512店舗へ増えています。一方、既存店売上高は1~6月累計で96.5%、7~9月も前年同月を下回りました。
つまり、新しい店舗を増やす動きがある一方で、営業期間の長い直営店では、前年と同水準の売上高を確保できていない状況です。これは「店舗網の拡大」と「既存店の集客力」が別の課題であることを示しています。
客離れが一時的なものか、継続的な変化なのかを見極めるには、次の指標に注目したいところです。
1.既存店客数が100%に近づくか
最も重要なのは客数の回復です。客単価が上昇しても、来店客数が前年を大きく下回る状態が続けば、売上高の回復には限界があります。今後、客数の前年同月比が改善するかどうかが、集客策の成果を測る重要な手掛かりになります。
2.客単価の上昇に頼らず売上高を伸ばせるか
客単価の上昇は売上高を支えますが、値上げや注文内容の変化だけで成長を維持するのは難しい面があります。新メニューやフェアが客数の増加につながり、客単価と客数の両方が売上高を支える形になれば、より持続的な回復が期待できます。
3.キャンペーンの効果と出店計画が改善するか
会社側は、キャンペーンの客数の伸び悩みと出店ペースの鈍化を課題として挙げています。今後は、フェアの実施回数だけではなく、実際に客数が増えたか、通常メニューへの再来店につながったか、出店計画が改善したかが重要です。
また、原材料価格や人件費の動きも見逃せません。値下げによる集客が実施されても、コスト負担が増えれば利益面では別の問題が生じる可能性があります。利用者にとっての手頃さと、店舗運営の採算を両立できるかが、今後の価格戦略を考えるうえでの課題です。
2026年9月時点の客数は前年同月比92.6%で、依然として前年を下回っています。客離れが解消したと評価するには、単月の売上高だけではなく、複数月にわたる客数の改善を確認する必要があります。
【かつや客離れ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:かつやの客離れは本当に進んでいるのですか?
A1:2026年の公式月次データでは、直営既存店の客数が前年を下回っています。1~6月の累計は93.9%、9月は92.6%でした。ただし、この数字は来店客数の前年同期・前年同月比であり、利用者が永久に離れた割合を示すものではありません。
Q2:かつやの売上が低迷している最大の原因は何ですか?
A2:公式資料では、キャンペーン時の客数の伸び悩みや、計画に対する出店ペースの鈍化が挙げられています。加えて、2025年10月の価格改定によって、利用者が感じる価格面の負担が変化した可能性も考えられます。ただし、客数減少のすべてを一つの原因に結び付けることはできません。
Q3:2026年のかつやのメニュー価格はいくらですか?
A3:公式サイトでは、カツ丼(梅)が税込682円、ロースカツ定食が税込913円です。店舗や券売機、デリバリーなどで価格が異なる場合があるため、利用店舗の表示も確認してください。
Q4:かつやと松のやでは、どちらが安いですか?
A4:2026年10月時点の公式メニューでは、ロースカツ定食はかつやが税込913円、松のやが税込690円です。単純な価格比較では松のやが安いものの、メニュー内容や店舗ごとの条件も考慮して選ぶのがおすすめです。
Q5:かつやの客離れは今後改善する可能性がありますか?
A5:改善の可能性を判断するには、既存店客数が前年水準に近づくか、新メニューやキャンペーンが集客につながるかを確認する必要があります。2026年9月時点では既存店売上高が前年同月比93.7%、客数が92.6%であり、回復を判断するには引き続き月次データを追う必要があります。
まとめ:【プロの結論】かつや客離れの真相は「客数減」と「単価上昇」の組み合わせ
2026年のかつや客離れを示す数字は、確かに存在します。アークランズの公式資料によると、直営既存店売上高は1~6月累計で前年同期比96.5%、客数は93.9%でした。さらに7~9月も売上高は前年を下回っており、客数の回復が大きな課題となっています。
ただし、店舗数は増加しており、かつや全体の人気が失われた、あるいは経営が危機に陥っていると断定できる状況ではありません。数字が示しているのは、既存店の集客が弱まり、客単価の上昇だけでは売上高を維持できていないという実態です。
値上げについては、2025年10月10日の価格改定があり、定番商品の税込価格は上昇しました。キャンペーンの客数が伸び悩んだことや、計画に対する出店ペースが鈍化したことも、会社側が挙げる課題です。価格だけでなく、来店する理由をどこまで作れるかが問われています。
【プロの結論】 かつやの今後を判断するうえで、最も重要なのは客単価の高さではなく、客数が回復するかどうかです。値上げによって1人当たりの支出が増えても、利用頻度が落ちれば長期的な成長にはつながりにくくなります。逆に、キャンペーンや新メニューが新規客とリピーターの双方を呼び戻せれば、客数と売上高の回復につながる可能性があります。
利用者にとっては、かつやを一律に「コスパが悪い」と判断するより、実際のメニュー価格と食事の満足度を比べ、自分に合う店を選ぶことが合理的です。そして客離れの真相を知りたい人は、今後の月次発表で既存店売上高・客数・客単価の3指標をセットで追うことが、最も確かな判断材料になります。 (出典: かつや 客 離れ(Yahoo!ニュース))